永遠の仏陀からのメッセージ『日本編』企業シリーズ 29

2025年4月8日夕方5時。
仏陀は、修行に入ると言われた。
『日本編』企業シリーズ 29
ストライキは終わった。社長は、強気な自分が組合に折れてしまったと嘆いた。ストライキ中の損益を何とかして取り戻そうと考えていた。なかなか良い案が見つからなかった。突然吹いて湧いたように思いついた。
海外の契約会社で日本の商品と同じものを作れば、コストが安くつく。日本での生産量を減らせばよい。外国で作れば日本の会社の社員を減らせる。それだけでも人件費が浮く。これは、最高の解決策と考えた。
役員を招集し、社長は案を説明した。説明を聞いた役員たちは一斉に驚きの表情をした。役員は会社の商品は、日本で日本製の材料で作ることに意味があり、消費者の信頼につながり、
かつ体に優しい高級感のイメージがある。これを破ることは、できないと訴えた。社長は、ストライキの損益の話と将来の会社の収益を考えて役員の訴えを無視し、海外市場開発部に国産の商品と同じ質の商品を作り日本へ輸出するように指示した。海外市場開発部は、社長に国産の原料をすべて輸入して作ることになり、安い賃金で労働者を雇ったとしても思うほど利益が上がらないことを説明した。社長は、納得しなかった。社員の説明を無視して作るように指示した。
契約会社は日本製の材料で同じように作ったが、日本製より味と風味が劣っていた。出来上がった商品のパッケージも日本製に劣り、購買意欲がわかない商品だった。不出来な商品は実際に市場に出荷できず廃棄処分となり、会社は余計な金を使うことになった。
社長は、これを担当した社員に減給の罰を与えた。社員は組合に訴え、組合は社長に抗議をした。話は組合から社員全員に伝えられ、ストライキの際の取り決めを守らない社長として、会社全体は不穏な空気に包まれた。
社長は、海外での試みが失敗したことと社員の不満はわかっていたが、なおストライキによる損益をいかに取り戻そうかと考えていた。
そんなある日、社長の祖国から「以前社長がいた会社が、自社と同じ味の商品を作った」という情報が入った。社長が取り寄せ、調べてみると、自社が海外契約会社と同じ地域の工場で作った商品と分かった。海外の自社と同じ地域の会社が作れて自社が作れないことを怒った。
海外市場開発部にそのことを正すと「自社の契約会社としてはこれが最高の技術で、これ以上の商品はできない」と伝えてきた。社長は怒り、この契約会社を探した社員を減給処分にし厳しく咎めた。