2025年4月2日夕方5時、仏陀は、修行に入る、と言われた。
『日本編』企業シリーズ 17
会社の経営は、安定していた。 社長は、退任の時期だと考えた。 会議を開いて役員たちに伝えた。 役員たちは、社長の退任を惜しんだ。 社長の意思は、固かった。後任の社長の人選について話し合われた。役員20人中5人の候補が出た。候補者はやる気満々で自信ありげに自分をアピールした。 会議が終わると、候補者は、役員仲間に対立候補の悪口を言ったり貶したりした。 一番押しの強い候補の男が、役員らにそれとなく賄賂を渡し人脈を作ろうとした。その様子を見て、他の候補者も追随した。 1人だけ賄賂には無関心の候補者がいたが、社長の器ではなかった。 役員同士の腹の探り合いで、3人の候補者が立候補を辞退した。
社長は役員の様子を見ていた。会議が開かれ、2人の候補者は、それぞれ社の未来像を熱く語った。賄賂に無関心な男は、社内の福利厚生に力を入れて社内環境を改善し、社員の士気を高め、営業利益を上げると語った。賄賂を使った男は、自信満々に経営方針を語り、売り上げが伸びたら直ちに賞与を倍にすると言った。社長は、候補の2人は社長の器ではと考えた。 社長は、以前から取引銀行に有能な人脈があった。社長引退後にその銀行の役員を会長職に迎え入れようと考え、話し合いが成立した。 また社長職には、経営手腕に秀でた大企業の役員を迎え入れようと考え、これも話し合いが成立した。会議が開かれた。 社長は、次期社長並びに会長についての案を伝えた。多数の役員たちも社内の2人の候補者は、社長の器ではないと判断し、社長の意見に賛成した。会社は、会長と社長を外部から起用することに決定した。
仏陀は、言われた。「長となる者は、それなりの経験と実績と人格が必要である。 器でない者が、成ろうとしても失敗に終わる。 これは、日本の企業や政府にも言える」