永遠の仏陀からのメッセージ『日本編』ある男Bシリーズ 3

2025年5月5日夕方5時。仏陀は、修行に入ると言われた。
『日本編』ある男Bシリーズ 3
男は家に帰り、妻に清掃会社に入社したことを伝えた。妻は、いきなり「明日からの生活はどうなるの?大して蓄えもないのに」と怒った。男は黙っていた。妻の言葉を受け付けないという意志を態度で示した。会社へ初出勤した。上役が男の履歴を見て、「◯◯さんは掃除が得意ですね。プロの世界は素人の掃除と違いますから、覚悟してください」と言い、男の上司を紹介した。
男は上司の指導で働くことになった。男は、上司について初めての仕事場に行った。上司は、男に丁寧に掃除の仕方を教え、初めは見て覚えなさいと指示した。男は上司のきれいで手早い仕事ぶりに驚き、自分がしてきたのとあまりの違いに気づいた。一生懸命働いた。上司は男の仕事を点検し、色々と注意し教えた。男は真剣だったので、次は間違わないように、と心に誓った。
1週間経った。だいぶコツがわかり、一通り動けるようになった。かってない神経を使い、くたびれていた。帰宅し食事をすると、いつもの晩酌がなく一汁一菜だった。妻は「当分の間、家は家計に合わせての食事になります」と言い、子どもに「パパの仕事が変わったので、おかずは少なくなるから」と言った。男は妻の言葉に戸惑っていたが、子どもは「パパは、何の仕事になったの?」と聞いた。男は「日本で立派な清掃会社に入ったんだよ」と子どもに堂々と答えた。男は今までになく仕事に真剣だった。男は仲間の社員より早く出社して掃除道具を点検し、男が行く会社の清掃のメモ帳を用意し注意点を書いた。
2週間経った。上司は、男の清掃を認めて一箇所の仕事を任せた。男は、上司に認められたことが嬉しかった。男は褒められるとよく働く性格で、仕事を丁寧に早くこなした。
一ヶ月経つと上司は、普通の人の三ヶ月分の上達具合だと褒めた。男の仕事ぶりは貪欲だった。かって時間が経つのをひたすら待った姿は微塵もなかった。しかし、妻は男の仕事への姿勢を評価せず、「こんな生活が長く続いたら、私、子どもを連れて離婚する」と男に言い放った。男は、内心、「子どもを育てられるだけの金を稼げないくせに大きなことを言うな」と思ったが、黙っていた。
二ヶ月経った。男は仕事を懸命にこなした。上司は、「普通の人の半年分に相当する上達ぶりだ」と褒めた。上司の言葉を聞いた上役は、男に「今まで見習いの立場だったが、あと一ヶ月同じ働きをしたら、正社員として採用する」と伝えた。男は嬉しかった。早く妻に正社員になったと威張りたかった。
入社し三ヶ月経ち、男の仕事ぶりは認められ正社員になった。給料は今までの会社の2/3になった。男にとって快挙だった。帰宅し、妻に正社員になったことを伝えると、妻は、「正社員になっても給料が2/3じゃねえ」と言い返した。男は妻の言葉に今度は負けずに対抗し、「俺の働きをどう思っているんだ」と言い返したが、妻は何も言わなかった。男は妻の冷ややかな言葉とは裏腹によく働いた。男は今までの人生で一番真剣になって働いた。仕事は面白かった。
六ヶ月経つと、上役が男の仕事を評価した。男にとって入社早々、上役に褒められたことは大変な喜びだった。男の働く意欲は掻き立てられていった。男は、心で今度こそ妻をねじ伏せてやるとつぶやいた。