永遠の仏陀からのメッセージ『日本編』ある男Bシリーズ 2

2025年5月4日夕方5時。仏陀は、修行に入ると言われた。
『日本編』ある男Bシリーズ 2
男は幸せだった。下っ端の自分が専務に声をかけられ、認められたと思い満足だった。毎日トイレ掃除を続けた男は、人に褒めてもらうためには他に何かをしなければ、と考えていた。会社の入り口を掃除しようか、廊下を掃除しようかといろいろ思案したが、職場の床掃除をすることに決めた。いつもより30分早く出社して、はじめに職場の床掃除をすることにした。掃除をしながら「プロの掃除は雑だ。俺がやったらもっと綺麗になる」と自負し、丹念に床を磨いた。
1週間経った。誰も綺麗になった床に気がつかなかったが、男は続けなくてはと自分に言い聞かせて一ヶ月経った。
同僚が「最近床が光ってきれいだ」と言っているのが聞こえてきた。自分が掃除をしていると名乗り出たいのを我慢して、「やっと気がついたか」とつぶやいた。
それから数日後、事務員が昨日、床に落としたボールペンがないというのが聞こえ、男は事務員にボールペンを渡すと、事務員は「どうして私のボールペンを持っているの?」と聞いた。男は、「朝掃除をしていたら落ちていたので拾った」と答えた。男がトイレ掃除の他に職場の床掃除までしていると会社中に知れ渡った。男はやっと知れ渡ったかと満足だった。
二ヶ月経った。男は、毎日1時間30分早く出社し、掃除をしたため疲労がたまっていた。昼休みの後、仕事をしていると眠気がさし、うとうととしていると肩を叩かれ、振り向くと上司だった。上司は、「掃除もいいけど会社で居眠りをしては何もならないね」と言い、注意をした。男は謝ったが、お腹の中でトイレ掃除のことや床がきれいになったことを褒めないで居眠りをしたしたぐらいで怒るなんてと不服だった。
男は度重なる居眠りで会社で有名となり、仲間の視線に冷たいものを感じ、会社を辞めたくなっていった。男は自分が会社を辞めたら妻はどんなに怒るだろうと思うと憂鬱だったが、会社の仲間といるのが息苦しくつらかった。ついに男は、妻に仕事が合わないので会社を辞めたいと伝えた。妻は男の言葉を聞くと、「家賃や子どもの学費をどうするの?生活していけないわよ」と怒り、男の言葉を跳ね除けた。
男は会社の帰り、清掃会社の求人広告を見た。早速、男は会社に連絡して募集内容の説明を聞きに行った。男の会社では清掃会社に月に1回掃除を依頼していた。求人広告にあった清掃会社は、男の会社が依頼している清掃会社のライバル会社だった。説明を聞くと自分にもできそうで気に入ったが、当分の間パート待遇で給料は今までの半分になることがわかった。妻に伝えると、妻は「そんな給料で生活をして行けるのか?」と息巻いて怒った。男は譲歩せず、会社に辞表を出し、清掃会社に入社した。
仏陀は、「この話は面白い」と言われた。