2025年4月10日5時45分。
仏陀は、修行に入ると言われた。
『日本編』企業シリーズ 32
役員たちは、3人の立候補者が同点だったことに驚いた。立候補者を除いた全員の役員たちは、この中に社長の器はいないと判断した。しかし、立候補者たちは闘志満々だった。
役員会が開かれた。役員たちの多数決で、3人の候補者以外から次期社長を推薦することに決まった。役員たちは苦い経験上、外国人の社長は除外することにした。外部から社長を迎えるより、社内をよく知ったものが次期社長になることが一番会社のためになるという結論に達した。
役員たちは、直属の部下に社長の器がいるか丹念に調べた。役員は、「部下の一人で控えめで目立たないが、大学を卒業して入社し、会社の危機をすべて体験している者がいる。この者は、常に報告は正確で会社の経営状態に詳しく、地道ではあるが確実な考えを持ち、なお社内で慕われている」と話した。
役員会議が開かれた。候補の男の過去の実績を調べ、次期社長はこの男しかないと決まった。役員会は男を呼び、次期社長への打診をした。男は驚き、「自分は、その器ではありません」と辞退した。しかし、「弱いところは、社員たちが補佐するから」と伝えたところ、男は次期社長の話を受諾した。役員会は、社内に次期社長には役員直属の幹部から選出されたと告示した。今まであり得ない人選だった。社員たちは、新社長が自社の幹部から出たことに驚き、歓声をあげて喜んだ。
社長就任式で新社長は、就任の挨拶をした。
経営方針として会社は、会社の創立理念を守らなければいけない。
1. 今までの利潤追求の経営方針をやめ国内の市場を大切にし、市場の安定化を図り、国内の製造に重点を置く。
2. ファミリーレストラン事業を見直して、直営店の営業成績の不安定な店は撤退する。収益の確実な店を残す。
3. 外国の契約会社は今までのような発展途上国向けの市場開発はやめて、自社製品が良く売れている国々の生産に限定し、必要以上の事業拡大をしない。
4. 社員に向けては、①会社は働く人あっての会社であり、社員を大切にし、明るく働ける職場を作る。②朝礼で太陽に手を合わせ、皆で挨拶をすることを再開する。
仏陀は言われた。「人間は自分の器の範囲以内の仕事をすればよい。それ以上のことをすれば、破綻する」