2025年4月4日夕方5時、仏陀は、修行に入る、と言われた。
『日本編』企業シリーズ 21
元社長は、会社が安定したことに安堵の日々を送っていた。会社の社長に創業者社長の墓参りをさせるには、どうしたらよいかと考えていた。 元社長は、前回一緒にお茶を飲んだ御礼として品物を用意し、手紙を一緒に同封することを思いついた。「久々の社長との話で楽しかったので、次回またお会いしたい」との内容の手紙であった。社長から、品物が届いたことへの御礼の電話があり、会う日取りが決まった。
社長と元社長は会社の話や四方山話などをした。元社長は、さりげなく創業者の墓参りを勧めた。社長は、心よく引き受け一緒に墓に向かった。 墓前で社長自ら率先して創業者の社長に掌を合わせ拝んだ。元社長は、その変わりように喜んだ。帰る途中次回の墓参りの話をした。ところが社長は、はっきりと断った。元社長は、なかなか思うようにいかないものだと諦めた。
数ヶ月経った。 社員が、元社長宅を訪れた。「社長は、朝礼でこれからは、太陽に掌を合わせたり、朝の挨拶するのをやめる。その代わり会社の規則を唱えるようにと話しました。 今では、社員同士挨拶はしなくなり、規則を唱えています」と言った。「この頃会社は、社員同士暗い雰囲気になり活気がなくなってしまいました」と話した。 また「社長は、売上を伸ばすことばかり考え、会社は新しい機械を導入し、社員たちは機械に振り回されているようです」と伝えた。 社員は、以前のような仕事への士気はなくなり、顔は暗くなっていった。不満を言い、退職する者が出初めていた。 それでも社長は、気にしなかった。
社長は、会議を開いた。売上向上と利益追求のみを議題にした。新型の機械導入により生産性の向上を図り、営業力を強化して販売を拡大し利潤を上げることに決まった。 しかし営業の社員には、以前のような士気はなくなっていた。方針を高らかに挙げても思うような利益は上がらなくなった。会社は、赤字を出した。社長は、新しい機械を導入し生産力を高めたのに利益が思うように上がらないのは、営業力が弱いせいだと解釈した。働く者の気持ちを理解していなかった。
仏陀は、言われた。「企業は、新しい機械で生産性向上を図ろうとするが、働く人間は生きものである。その配慮がなければ、心、魂が不安定になり、暗くなり活気がなくなる。 心が、会社から離れて売上にも影響する。 過去の人たちを見習い、働く環境を明るくすることである。それには、太陽に掌を合わせて挨拶することである」