永遠の仏陀からのメッセージ『日本編』ある男A シリーズ 3

2025年4月18日午後5時。仏陀は、修行に入ると言われた。
『日本編』ある男Aシリーズ 3
妻は、地方都市へ帰った。男は妻のいなくなった朝、いつもより早く起きて朝食を作り、子どもを起こし、学校へ行く準備をさせた。年老いた母への気遣いだった。
子供を学校へ送り出すと、母親は「これから食事は私が作るからいいよ」と言い、男は「自分は子どもたちの洗濯をするから」と言い、老母は「洗濯は私がするから掃除をしてくれるといいねぇ」と言った。女がいなくなったのでこれからのことを語り合った。母親は、「女がいるといつも見つめられているようで、肩が凝ったね。いないと気が楽だ」と話した。男も、気が強く合わない妻だったので、反論をせず黙っていた。
農業は初心者で、野菜の種をまいても半分しか育たず苦労していた。老母は、息子に丁寧に畑仕事を教えた。また老母は、都市の老人と違い、狭い農道を車を運転したり、いろいろな用を足した。よく働いた。
子どもは、学校から帰ると父親のいる畑で遊んだ。子煩悩な男は、都会ではありえない幸せな時を味わった。
慣れない畑仕事をしていると、近くに住む若い農夫がやってきて、「自分は都会でサラリーマンをしていましたが、有機農法に憧れてこの村に来てまだ日が浅いんです。この村で有機農法の青年会があり、参加しませんか」と持ちかけてきた。男は快く受諾し、参加すると会の中には男と同じようにサラリーマンから農業に転向する人もいて、先輩たちが丁寧に農業の指導をしていた。男は、農業の将来性を考えて有機農法で農家をやっていくことに決めた。有機農法の会に入会した男は、家に帰り母親へこれからの農業のあり方を説明し、入会したことを伝えた。有機農法の会の指導で、慣れない仕事もだんだんと上手くいくようになった。
ある時、男の小学校時代の友人が訪れ、村の役場の居酒屋で飲み会を開くから出席しないかと誘いがあった。居酒屋へ行くと、昔懐かしい顔ぶれがそろい祝杯をあげていた。男が「離婚して子供2人が家にいる」というと、仲間の一人は「子連れ2人と再婚した」と語った。互いに砕けた話をし合い、「ほっ」とした。幼馴染の良さを味わい、故郷へ帰ったことを実感した。子どもたちは母親のことを父親にも祖母にも口には出さなかった。妻との約束で一ヶ月に1回の電話をさせていた。ある時、子どもは母親と楽しそうに会話をしていた。電話を切ると、子どもは「本当はお母さんに会いたくてしょうがない。だけど言えなかった」と言って泣いた。
男は子どもがいじらしくて悲しかった。でも離婚したこと自体は後悔していなかった。
ある日、男は学校から呼び出された。先生は、「お宅のお子さんは、クラスの友達に暴力を振るっていじめるので困っています」と言った。男は先生の話を聞き、家へ帰って子どもにイジメのことを問いただすと、「母親がいないことをからかうので、悔しくて暴れる」と答えた。
男は、子どもの心が痛いほどよくわかり辛く、怒れなかった。男は、子どもに母親に会わせることを考えた。連休を利用し、男は子どもたちを連れて母親に会わせに行った。