2025年4月20日夕方5時、仏陀は修行に入ると言われた。
『日本編』ある男Aシリーズ 7
会社員が帰り、夫婦でかつて居た会社での出来事などを話し合った。女は夫に「半年前まで都会の生活が懐かしかったが、田舎生活が嬉しく、農家へ嫁に来れてよかった」と語った。夫婦睦まじく幸せな日々を送っていた。子どもたちも母親に慣れて、学校で新しい母親が来たことを自慢した。男は、子どもたちを可愛がる女に感謝した。
しかし平穏な日は、長くは続かなかった。ある日、近所の農家の人から、子どもが学校で暴力を振るっていると言われた。子どもを正すと、「新しいお母さんが都会のことを毎日話すので、自慢して都会のことを話したら友達は無視するので悔しくなって殴った」と言った。男は、「暴力を振るってはいけない」とだけしか言えなかった。男は妻にそのことを伝えた。妻は「都会が懐かしく、何気なく都会の出来事を話すんだけど、難しいわねえ」と言った。男は妻の言い分を聞いて何も言わなかった。子どもたちには「田舎に来たんだから田舎の子と仲良くするんだよ。都会の話はやめようね」と注意した。
ある日、有機農法青年会の会員が訪れた。「過疎の村起こしをしよう。古民家の民宿を考えている。何人かやりたい人間がいるので会合を開こう」と持ちかけてきた。
会合が開かれた。皆、民宿の話には興味を持った。話を持ちかけた男が資料を出し説明した。皆民宿をしたいけど条件が揃わず、できそうな人間は3人だけだった。
男は家に帰り、妻に相談すると、妻は大喜びだった。
男は妻が料理がうまく、人を接待するのが得意だったので、妻の特技が行かせてよかったと安心した。何より賛成してくれたことが一番嬉しかった。男は、田舎に来てから性格が変わっていった。以前よりも新しいことに挑戦する意気込みを持つようになっていた。老婆は、何もわからないので息子に従うと言い、子どもたちは家に客が来ると喜んだ。
農作業の合間に民宿をする仲間が集まり、会合を何度もした。会合では、
1. 民宿の客に有機農法の食事を提供すること
2. 客に季節の畑を体験してもらうこと
3. 古民家の良さを味わってもらうこと
4. 古民家の不便なところは改装し、良さは残して住みやすくすること
など、細かいところをいろいろと意見を出し合った。
民宿の構想ができると情報網を使い宣伝した。想像以上に客の申し込みがあった。保健所の認可を取り、半年後に開業した。
秋の晴れた日だった。2人の子ども連れの親子が訪れた。女は客を家に上げ一通り説明をし、男は親子連れを外に案内した。
客は、山々の美しさや秋の実り豊かな田や畑を見て喜んだ。客は田舎の畔道を歩き、子どもたちは駆けずり回り遊んだ。夕食は妻が地元で採れた有機野菜を使って田舎料理を作り、子どもたちには子どもの好きそうな料理を一品作り提供した。
古民家で出す妻の料理は、古い家屋の風情とよく合い、客は珍しがり大変に喜んだ。翌日、男は客を連れて畑に行き、芋掘りを手伝ってもらった。短時間ではあったが、都会の客は大変に喜んだ。男はそのまま農作業をし、客には田舎の生活を楽しんでもらった。
客は一日であったが、芋掘りができ、古民家に泊まり、有機野菜の料理を食べ、芋のお土産をもらって喜んで帰っていった。
夫婦は、何もかも初めてであり戸惑ったが、客の喜ぶ顔が嬉しかった。また何を改善したらよいかとふたりで話し合った。