4月21日朝5時40分。仏陀は、修行に入ると言われた。
『日本編』ある男Aシリーズ 8
夫婦は、慣れない客扱いであったが、無事に終えて満足していた。当面は農作業のこともあるので、ウィークデーに2日間で1組、週末土日に1組の客を取ることに決めた。男は民宿を経営する仲間と会い、情報交換した。皆、民宿を開業した感動を話し努力が実ったと喜びあった。
男の家族は生活が一変した。客がいる間は、風呂は早い時間に客に入ってもらい、老母と子どもには後から入ってもらうようにした。夕食は、老母と子どもには早めに食べてもらった。客がいる間は客を優先とした。老母と子どもは、最初少し戸惑ったが、次第に慣れていった。
若い夫婦が幼い子どもを連れてきた。妻は客が来ると、客の食べられない物や好みなどを聞き、客扱いが慣れていった。若い夫婦は、普段は洋食やイタリアンが多いので和食が食べたいと言い、妻は地方の郷土料理を出し、またアレンジして和風創作料理を出し客を驚かせた。若夫婦は普段は椅子の生活なので、日本家屋の畳の感触を楽しみ、妻は使い古された障子や襖を触り、古民家を体感し喜んだ。
子どもたちは、客の幼い子を外に連れ出して遊び、客の子を喜ばした。男の夫婦は、民宿経営に慣れていった。
三ヶ月経った。妻が慣れてきたので、ウィークデ一と週末の客を1組から2組にしようと提案し、家族の了解を得て受け入れ客を増やした。
初冬を迎えていた。民宿経営仲間が集まり会合した。冬はあまり魅力がない里山に何かイベントをして客を集めようと話し合い、冬の間は餅つきをして客に体験してもらい、食べてもらう。つき終わった餅は、販売しよう。冬は有機の大根掘りを客に体験してもらう。また冬の間、古民家で囲炉裏を開き、体験することを決めた。
情報網を使って宣伝したところ、あっという間に冬の間の三ヶ月の予約が埋まった。泊まりに来た客は餅つきをし、囲炉裏端でおろし餅、きなこ餅、あんころ餅などを食べ、田舎の生活を楽しんだ。また、若者や中高年の団体は、囲炉裏での酒宴を開き、日本の古民家の生活を堪能し喜んだ。昼間は客を畑に案内し、大根抜きの体験をしてもらった。客は慣れない作業に興奮し、歓声をあげた。男は、妻に協力できることは、惜しまず手伝った。
妻は男に「お客さんは、今まで自家用車で来る人たちばっかりだったけど、お父さん、お客さんを駅へ迎えに行ってもらえる?そうすれば車がない人も来れるわ」と提案し、早速実行に移した。男の夫婦は忙しくなったが、現金収入が増えて喜んだ。