永遠の仏陀からのメッセージ『日本編』企業シリーズ 30

2025年4月9日朝5時40分。
仏陀は、修行に入ると言われた。
『日本編』企業シリーズ 30
海外市場開発部の社員は、社長に減給されたことを組合に伝えた。知らせを聞いた組合は、社長が前回ストライキの約束を破ったことを怒った。組合本部は、全国の支社の組合に連絡し、本社へ抗議のストライキをすることを決定した。本社にプラカードと鉢巻姿の組合員が押し寄せ、「約束を破る社長、退任せよ!」と拳を上げて叫んだ。
この騒ぎは、メディアに知れ、全国に有名製菓会社ストライキとして放映され、日本中に知れ渡った。社長は、組合の叫び声に微動だにせず、「会社のための利益を追求した行動であって何も悪いことはしていない」と組合員の叫びを無視した。役員たちは社長に「組合と話し合いをしたらどうか」と打診したが、社長は受け付けなかった。
この騒動に前社長と元社長は困惑した。何とかせねばならないと話し合った。二人は創業者の墓前に行き、実情を言い詫びた。
二人は、社長に面談に行くことに決めた。社長は、二人の元社長が面談に来た知らせを受けると、部下なら相手にしないが、元社長たちなら会わないわけにはゆかないと、不服ながらも会った。
二人の元社長は、「ストライキは、既に10日を過ぎています。このまま続けば会社は、一大危機を迎えることになります。社長、組合と話し合いませんか」と話を持ちかけた。社長は会社の危機を元社長に指摘され、一番恐れていたことでもあり、この申し出を受諾した。
事務所に元社長二人が同席し、社長、役員、組合の幹部で話し合いが始まった。組合の幹部は、「社長は、前回のストライキでの約束を破った。社員の固定給を割った減給措置は許せない!」と訴えた。それに対して社長は、「自分は会社の発展と利益につながるための行動をしたのだから、何も悪くない」と主張した。お互いに自分たちの主張を言い合うだけで話し合いは平行線をたどった。
元社長は、言った。「このままでは労使共倒れになってしまいます。会社倒産の危機です。社長、組合に約束したことを破ってはいけません。働いてくれる人あっての会社なのです。働く人がなければ利益も何もありません。社員に対する減給処罰を撤回してください。約束したことは、守ってください」と言った。元社長から「このままだと労使共倒れになる。労働者あっての会社の利益である」と指摘され、社長は渋々承諾した。元社長は、組合の幹部に「社長さんが、社員の減給を撤回したので、これからはこのようなことは起こりません。このまま労使共倒れになったら、あなた方も路頭に迷います。仕事場に戻ってください」と諭した。
組合幹部が退出すると元社長は、「国内製造の商品は高級菓子として全国に知れ渡っており、信頼と実績があります。良い品を国内で製造するという会社の理念を破ってはいけません。客の信頼を失い、顧客を失います。社員あっての会社であり、社員を大切にしなければ、会社は倒産の道をたどります」と再度言った。
会社は元の状態に戻った。数ヶ月経った。会社の経理部は、収支が大幅に合わないのを見つけ、経理部総動員で調べた。色々と調べていくと、社長の経費が必要以上にかかっていることを突き止めた。原因は社長にあると分かり、役員に相談した。相談を受けた役員は、役員全員で収支に関わる詳細な調査資料を見て、社長が多額の金を会社経費という名目で流用していることを確認した。

永遠の仏陀からのメッセージ『日本編』企業シリーズ 29

2025年4月8日夕方5時。
仏陀は、修行に入ると言われた。
『日本編』企業シリーズ 29
ストライキは終わった。社長は、強気な自分が組合に折れてしまったと嘆いた。ストライキ中の損益を何とかして取り戻そうと考えていた。なかなか良い案が見つからなかった。突然吹いて湧いたように思いついた。
海外の契約会社で日本の商品と同じものを作れば、コストが安くつく。日本での生産量を減らせばよい。外国で作れば日本の会社の社員を減らせる。それだけでも人件費が浮く。これは、最高の解決策と考えた。
役員を招集し、社長は案を説明した。説明を聞いた役員たちは一斉に驚きの表情をした。役員は会社の商品は、日本で日本製の材料で作ることに意味があり、消費者の信頼につながり、
かつ体に優しい高級感のイメージがある。これを破ることは、できないと訴えた。社長は、ストライキの損益の話と将来の会社の収益を考えて役員の訴えを無視し、海外市場開発部に国産の商品と同じ質の商品を作り日本へ輸出するように指示した。海外市場開発部は、社長に国産の原料をすべて輸入して作ることになり、安い賃金で労働者を雇ったとしても思うほど利益が上がらないことを説明した。社長は、納得しなかった。社員の説明を無視して作るように指示した。
契約会社は日本製の材料で同じように作ったが、日本製より味と風味が劣っていた。出来上がった商品のパッケージも日本製に劣り、購買意欲がわかない商品だった。不出来な商品は実際に市場に出荷できず廃棄処分となり、会社は余計な金を使うことになった。
社長は、これを担当した社員に減給の罰を与えた。社員は組合に訴え、組合は社長に抗議をした。話は組合から社員全員に伝えられ、ストライキの際の取り決めを守らない社長として、会社全体は不穏な空気に包まれた。
社長は、海外での試みが失敗したことと社員の不満はわかっていたが、なおストライキによる損益をいかに取り戻そうかと考えていた。
そんなある日、社長の祖国から「以前社長がいた会社が、自社と同じ味の商品を作った」という情報が入った。社長が取り寄せ、調べてみると、自社が海外契約会社と同じ地域の工場で作った商品と分かった。海外の自社と同じ地域の会社が作れて自社が作れないことを怒った。
海外市場開発部にそのことを正すと「自社の契約会社としてはこれが最高の技術で、これ以上の商品はできない」と伝えてきた。社長は怒り、この契約会社を探した社員を減給処分にし厳しく咎めた。

永遠の仏陀からのメッセージ『日本編』企業シリーズ 28

4月8日朝5時45分。仏陀は、修行に入ると言われた。
『日本編』企業シリーズ 28
社長は、売上成績が伸びないのが不満だった。一方社内では社長の厳しい方針に不満が高まっていった。会社の士気は過去のものとなり、社内は険悪な空気で覆われていった。
社員たちは、全国に散らばる支社の労働組合に密かに連絡を取り合った。労働組合でストライキを決行し、社長に不満をぶつけようと決起した。本社の玄関に全国の支社から組合員が集まった。プラカードを持ち頭に鉢巻きをした戦闘態勢の組合員が「ワンマン社長、社員の生活を保障せよ。社員の減給反対!」と一斉に叫んだ。
社長は、突然の社員の造反に驚き焦った。役員たちは、来るべき時が来たと冷静に判断した。役員たちは組合員の訴えを聞き、社長に伝えた。社長は動揺したものの頑なに「長期ストライキをすれば、社員は生活できなくなり、やがて終止せざるを得ない」と考え、交渉の場を作ろうとしなかった。
会社のストライキの行動に目をつけたメディアは、テレビやインターネットを使い、全国にストライキの様子を流した。ストライキは、国民の話題になった。役員たちはストライキが長引けば、会社の売り上げは落ち、大変な危機になることを察し、何度も組合員との交渉を勧めたが、それでも社長は受け入れなかった。
役員たちは社長の強固な態度に困り果て、前社長に相談した。前社長も思案にくれるばかりで答えが出なかった。
元社長に相談し、元社長と創立者の墓参りをした。墓前で2人の元社長は目に涙を浮かべて「申し訳ございません。助けてください」と念じた。
10日経った。組合員の強固な態度に社長は焦った。会社の危機を感じ、組合員と会うことにした。組合員は、「仕事の成果が出ないという理由で減給しないこと、基本給を守ること、生活保障をすること」を訴えた。社長は当初、譲らなかったが、組合員の強固な姿勢とストライキの長期化を恐れ、要求を受け入れた。
社長はこれで一件落着と安堵し、ストライキを解除するように指示した。しかし組合員は、さらに休憩時間の5分間延長を要求した。組合員は、「仕事に集中し疲労がたまるので心身ともに休め、疲労を回復して仕事をしたい」と訴えた。
社長は、就労時間短縮したための損益をいち早く計算した。組合員の意向を受け入れなければストライキを続行する態度に会社の危機を感じ、しぶしぶ要求を受け入れた。社長は、直ちにストライキを解除するよう指示した。
さらに、組合員は有給休暇を3日延長するよう要求した。社長は、これ以上譲歩できない、と強い姿勢で組合員に伝えた。
組合員は、これ以上要求を通せば、今まで成立した要求も却下され、さらにストライキを続ければ生活にも支障が出ると判断し、三番目の要求を取り下げた。

永遠の仏陀からのメッセージ『日本編』企業シリーズ 27

2025年4月7日夕方5時。
仏陀は、修行に入ると言われた。
『日本編』企業シリーズ 27
新社長は、役員たちに指示したことの成果が上がっているかを厳しくチェックした。海外市場開発部には契約会社が見つからない場合、担当社員にペナルティーとして減給を課した。契約会社を見つけた社員には、直ちに報酬を渡した。材料は、質にこだわらず安価に仕入れられる商品を探させた。社内では、商品のロスを減らすことを厳しくチェックし、ロスを出した者にはペナルティーとしてロスの商品を買わせた。社員たちは不満の声をあげたが、無視された。
社長は役員の声をほとんど聞かず、自分の方針を進めた。国内の利益を上げるため、菓子部門のほかに高級ファミリーレストランを作り、チェーン展開をすると発表した。レストラン部門は直営店と委託店舗に分け、全国展開する。主要都市郊外に直営店舗を設け、委託店舗については情報網を使って募集する。ファミリーレストランに土産品として自社の高級菓子と子ども用に海外生産の安価な菓子を陳列すると決めた。ファミリーレストランを全国展開するにあたって、国内市場開発部を作った。国内市場開発部には直営店用地として都市郊外の駐車場を広く取った場所を探させた。出店の候補地が見つかると市場調査をし、速やかに直営店を作った。一方、国内市場開発部には、今までの取扱店のほかに全国主要都市に自社の諸製品を扱う店舗があるかを調査させ、見つかると直ちに取引の交渉を指示した。この部署でも市場開発の遅い者に対して減給措置を取った。社内役員たちは、役員の意見を聞かない社長の経営方針に不満だった。海外市場開発部、国内市場開発部とも厳しいペナルティーに不満を言った。新社長の人間性を無視した指示に陰で悪口が囁かれた。社員たちは口数が少なくなり、社内は暗くなった。
一方社長は、ファミリーレストランの新事業に力を注いだ。役員を連れて全国の直営店を視察し、細かいところまでチェックした。直営店の売り上げの報告を見て、収益を細かく調べた。そして「レストランの商品といい、建物、備蓄品に至るまで申し分ないのに売上成績が伸びないのは、注文があってもコックやウエイトレスの士気が足りないからだ。コックは注文商品を出すのが遅いし、ウエイトレスは客に商品の勧め方が足りない」と厳しく叱責した。店内にアンケート用紙を置き、アンケートで指摘された社員については容赦なく減給した。社長のあまりな厳しさに社員は働く意欲を失い、ウェイトレスは注文が来ても素早く行動できず、コックは注文と違った料理を作ってしまうなどの事がたびたび起こるようになった。客は、離れていった。

永遠の仏陀からのメッセージ『日本編』企業シリーズ 26

2025年4月7日朝5時45分。
仏陀は、修行に入ると言われた。
『日本編』企業シリーズ 26
社長は、外資系会社に負けず会社の収益が安定したことに安堵した。会社は、今や製菓業界で日本で一番の企業となったと喜んだ。社長は社長就任から今までの仕事を振り返り、「やるべきことはやった。ここで社長職を退任しよう」と考えた。だが、会社は大きくなったものの後任の社長になる人材がいないことを悩んだ。
社長は会議を開いた。役員たちに社長退任の意向を伝えた。社長は、役員に後任者として役員の中から立候補する者がいるか打診すると、皆辞退した。会議は終わった。
社長は、元社長に会ってこのことを相談することにした。会社の実情を説明し、元社長の意見を求めた。元社長は、日本に進出した対抗の外資系会社から人材をスカウトしたらどうかと提案した。社長は、日本一となった現在の会社を考えると良策と思い、役員会を招集した。全員一致で外国から優秀な人材をスカウトすることに決まった。
会社は、外国に調査団を派遣し、外資会社に会計顧問で優良な人材がいることを突き止め、交渉をし成立した。日本一となった会社は、初の外国人社長を次期社長として決めた。
新社長は、役員を前に就任の挨拶をした。
1, わが社を世界一の企業にする。
2, 国外にわが社と契約会社を開拓して、コストを削減し、質を落として安価な商品を海外市場で販売する。そのために営業の海外市場開発部を作る。商品は、アフリカ諸国まで進出させる。
3, 国内製造は、従来のままとして質・値段は下げず、高級品のイメージを持続させる。
4, 朝礼で太陽に掌を合わしたり社員皆で挨拶することは廃止する。
5, 市場開発部は、新しい海外契約工場を見つける。契約を成立させた者には、賞与を増やす。不成立の者については、減俸する。
6, 製造社員は、商品ロスをなくすこと、仕事の量を増やし就業時間内に仕事を終わらせること。
7, 経理部は、随時会社の経理情報を報告すること。
を言い渡した。
新社長の就任の挨拶のことを聞いた部署の社員たちは、新社長の方針にかつてない厳しさがあることを知った。