永遠の仏陀からのメッセージ 「足元から始める世界平和」

Message from the Eternal Buddha “World Peace Begins in our immediate surroundings”

2025年10月21日、朝5時50分。朝の唱題をしてましたら仏陀の壮大なる唱題がずっと続きました。そして仏陀からのお言葉が降りてきましたので、私は筆を執りました。
On October 21, 2025, at 5:50 a.m., while I was doing my morning chanting, the grand chant of Buddha continued uninterrupted. Then, words from Buddha descended upon me, so I took up my brush.

宇宙は、慈悲・慈愛で覆われている。それは、民一人ひとりに注がれている。
The universe is enveloped in love and compassion.
This love and compassion is bestowed upon every single person.

しかし受け取る器がないと受け取れない。一人ひとり境遇は違っても仏の慈悲は、降り注がれている。仏の慈悲・慈愛を受け取るが良い。我は諦めない。殺戮のない世界へと導かねばならない。野獣化した民の心を正さなければならない。
However, if one does not have the capacity to receive, it cannot be accepted.
Even though everyone’s circumstances are different, the Buddha’s compassion is pouring down upon all.
You should receive the Buddha’s mercy and loving-kindness.
I will never give up.
We must guide the world toward a place without slaughter.
We must correct the hearts of people who have become beast-like.

人を殺してはならない。この点、人の精神は、原始時代から何ら深化してはいない。むしろ、現代文明の力で、科学兵器を使い、悪い方へと進化している。目覚めよ、心をたださねばならない。日常の生活で隣人を愛し、争いをしてはならない。
You must not kill others.
In this respect, the human spirit has not evolved since primitive times.
On the contrary, with the power of modern civilization, we have begun using Scientific weaponry and moving in a worse direction.
Awaken; you must purify your heart.
In daily life, love your neighbors and avoid conflict.

隣人を認めよ。受け入れよ。そうすれば、汝も隣人に受け入れられる。愛和の精神が必要である。仏が慈悲・慈愛の心を民に降り注いでも、今はそれを受信する民の器があまりにも壊れてしまっているのですべて流れてしまうのである。
Acknowledge and accept your neighbor.
If you do, you too will be accepted by your neighbor.
The spirit of love and harmony is essential.
Even if the Buddha showers the people with compassion and loving-kindness,today, people’s capacity to receive it is so damaged that all of it simply slips away.

改めて言う。人と人との争いをしてはならない。先ず身近な日常生活で実行するのである。自分を取り巻く隣人、家族、職場の身近なところから明るい心で接し挨拶するのである。一番初歩の一番大事なことである。一日の平安な心が保たれるスタートとなる。
Let me say this again: People must not quarrel with one another. First, put this into practice in your daily life. Greet your neighbors, family, and coworkers—those close to you—with a cheerful heart. This is the most basic and important principle. It sets the foundation for maintaining a peaceful mind throughout the day.

平安な心が保たれれば、仏の慈悲・慈愛は受け取れる。乱れた魂(心)では、仏の慈悲・慈愛は流れてしまい、受け取れない。再び我(われ)は言う。争いをしてはならない。人間よ、目覚めよ。今まさに真の覚醒が必要な時である。
If one maintains a peaceful mind,
one can receive Buddha’s compassion and mercy.
But with a disturbed soul or heart,
Buddha’s compassion and mercy slip away
and cannot be received.
Once again, I say:
Do not engage in conflict.
Humankind, awaken.
Now is the very moment when true awakening is needed.

神仏は警告している。過度の文明の発展を追求してはならない。地球の限界を超えることをしてはならない。自ら滅んでいくことにつながる。民よ。まず、隣人を愛せよ。文明の進化に振り回されてはならない。仏は、一人ひとりに試練を与えている。
The gods and Buddha are warning us: we must not chase after excessive advancement of civilization. We must not exceed the Earth’s boundaries, for doing so leads to our own destruction. People, first love your neighbors. Do not be swept away by the progress of civilization. Buddha places trials before each individual.

いかに乗り越えるかである。人生に苦しむ民よ。仏が、慈悲・慈愛を降り注いでいるのを忘れてはならない。我を仏を真に信ずることである。妙法を唱えよ。汝の魂は、仏に通じる、魂は癒やされ、生きる力、生命力を得ることができる。仏は汝の魂を守っていることを忘れてはならない。
The key is how you overcome difficulties. To all people suffering in life, never forget that Buddha showers you with mercy and compassion. Truly believe in Buddha as part of yourself. Chant the Myoho-Mystic Law. Your soul is connected to Buddha; it will be healed and receive the strength and vitality to live. Always remember that Buddha protects your soul.

合掌
Putting hands together in prayer

永遠の仏陀からのメッセージ『日本編』ある男Bシリーズ 6

2025年10月10日、朝6時。

『日本編』ある男Bシリーズ 6

男は、自分と考えの相反する若者との会話の中で、自分自身を見つめていた。決して孤独ではなかった。
昨日までの自分の人生にはないすがすがしさがあった。男は、青年に「若いとは、素晴らしいことなんだ。若い時だけにしか出てこないエネルギーがあるよ。なんのことも恐れないエネルギー、それが将来を開くんだ」と静かに言った。
男は、自分にかつてあった姿を青年に認めて、青年を励ましていた。男と青年は立ち上がり、本堂の前で掌を合わせ寺を後にした。男と青年は地図に書いてあった。小高い山の神社を目指し、歩き出した。

青年は、今まで会ったことのない人間の魂の深さを感じた。これまで若さゆえに見えなかったが、自分の器の小ささを初めて感じた。ショックだった。今まで、心で魂で生きる姿を言葉で教えてくれる人はいなかった。男に人間の重みを深さを感じた。歩きながら、青年は「僕は都会へ戻ったら、個人で塾をやろうと思っています。それも家を使わず、SNSで開講しようかなあ、と思っていたんです」と言った。「塾へ行かず、パソコンがあれば勉強できる。そんな時代が来るんじゃないかと思って、これからAIの時代だから…」青年の言葉は希望に満ちていた。

男は、青年の言葉を聞きながら、先の見えない将来と、ここで立ち止まり考えている自分の姿を見つめていた。確実に言えることは、元の自分には戻らない。自分の魂に正直に生きようとしていた。男は、自分にこれから何ができるかと考えていた。何が一番したいかを考えていた。若い時から一番したかったのは、車で走ることだった。車の運転が好きだった。男の趣味は、車だった。車に触っていれば、どんな不機嫌な時も気が晴れた。車種にはこだわらなかった。自分が運転することで、大きな車体が動くことに、快感を覚えていた。男は、車の趣味を生かした仕事がしたかった。タクシーの運転手、大型車の運転手、・・・・・頭に浮かぶ職種を考えていた。自分の趣味と仕事を結びつけると、生きる喜びを感じていた。
今まで、心から望む人生に蓋をして社会の通例に沿って生きてきた。その蓋を外すと、大きな期待と不安に包まれた。「そうだ。車だ。車を運転する仕事をしよう」と決心をした。自分自身を見つめることで、多くの人の世話になり、今まで生きて働いてきた自分の姿が見えていた。
男は、これから人から感謝される仕事に就こうと思った。かつて地方に住む実父が、介護タクシーの世話になり病院へ通院していたことを思い出した。父親は、介護タクシーの送迎なしでは、通院は無理だった。体を横たえなければ、通院できなかった。母親が、「介護タクシーの運転手は、親切な人で、心から感謝している」と言っていたのを思い出していた。介護タクシーの運転手を思い心が動いていた。男の人生に、新しい希望がエネルギーとなって湧いてきた。青年との出会いがなかったら、考えられない男の決断だった。

男は淡々と青年に「私は昨日の海で、今までどれだけ人のお世話になって生きてこられたかが分かったんだよ。これからは、何か人の役に立てる仕事がしたいと思っていたんだ。きみの輝く瞳を見てね、これからの自分に何ができるかを真剣に考えてたんだよ。私はね、介護タクシーの運転手になろうと思う」と淡々と言った。青年は、介護タクシーの言葉の意味もよく理解できなかった。ただ、漠然と今までの職とあまりにも、違う仕事で、驚きを隠せない表情をした。

永遠の仏陀からのメッセージ「戦争という現象の元を自覚する」

2025年10月19日、朝5時。唱題が終わりまして、最後に仏陀からメッセージが届きました。
At 5 a.m. on October 19, 2025, after the chanting ended, a message from Buddha was received.
ガザは、人間社会の闇を象徴するものである。たとえガザが収まっても、次へと戦火がつくであろう。
Gaza represents the darkness within human society. Even if the situation in Gaza calms, the flames of war will likely ignite elsewhere.
人間の我(が)という闘争心が収まらない限り、戦火は延々と続く。今は、まさに心の平安が必要なのである。一人ひとりの心の火種を消すために唱えなければならない。唱えれば、心が安らかになる。
As long as the human ego-driven spirit of conflict remains unsettled, the flames of war will continue without end.
Now, more than ever, we need inner peace.
We must each chant to extinguish the sparks of unrest within our hearts.
By chanting, our minds find tranquility.
現代社会に順応して生きてゆくということは、人と人との競争をする(せざるを得ない)ということである。それは、長所でもあり、短所でもある。長所は、競争心が現代文明を築き上げたこと。しかし、より高度な文明へと進化させるために、闘争により資源を略奪(争奪)する行為へと展開していった。この人間の行為は、盗賊と何も変わらない。
Living in modern society means one inevitably has to compete with others.
This competition has both advantages and disadvantages.
On the positive side, the spirit of competition helped build modern civilization.
However, in the pursuit of advancing to higher civilizations, it led to conflicts where resources were forcibly seized.
Such human actions are no different from those of thieves.
かつて、古代の人間は、競争がない自然の状態で生きていたから、魂は平安であった。命をつなぐための狩猟であり、農耕であった。今の生活は、生命の維持のためではなく、飽くなき快適さの追求となっている。ますます魂は、乱れ、生まれ持った人間としての心のあり方から離れていく。
In ancient times, humans lived in a natural state free of competition, and thus their souls were at peace. Their lives were sustained through hunting and farming. Today, however, life is no longer about mere survival but about the endless pursuit of comfort. As a result, the soul becomes increasingly unsettled, drifting further from our innate human nature.
今まさに真の宗教が必要な時代である。人間の心のあり方を問わねばならない。人間よ、目覚めよ。今こそ、心の平安が大切なのである。人と人とのつながりに、和の心を持たねばならない。人間は、社会の一員として生きることを自覚せねばならない。他者を思いやる心が大切である。自分が、自分が、という我(が)を捨てよ。我(が)がなくなれば、魂は穏やかになり、平安な日々を送ることが出来る。隣人を愛する心が出てくる。激しい闘争心はなくなる。
This is precisely a time when true religion is needed. We must examine the condition of the human heart. People, awaken. Now more than ever, peace of mind is essential. In our relationships with one another, we must embrace a spirit of harmony.
そのために唱題するのである。唱題すれば、妙法の力で心の安定を得ることができる。魂本来の姿に戻れる。
That is why we chant the daimoku. By chanting, we can attain peace of mind through the power of the Mystic Law. We can return to the soul’s original true state.

戦争・闘争は、人間一人ひとりの魂の荒れた姿の集大成であることを自覚せねばならない。  You must recognize that war and conflict are the result of the collective turmoil within each individual soul.

合掌
Hands joined in prayer

<天からのメッセージ(虚空でのお話) 106>

10月14日、朝5時50分。
女の仏様です。
皆様、おはようございます。朝晩は涼しくなりましたね。日中も大変に心地よく過ごせます。あの酷暑を経験すると、ありがたみがよくわかりますね。
本日は、人生の周期についてお話しします。大きなサイクルので言いますと、人間は生まれた時は春ですね。命の誕生で、植物でいうと芽吹きです。人間の子どもは、両親や社会の人々の力を借りて成長し、学生時代を通し学び、社会へ巣立ちます。樹木にたとえますと、ひ弱な苗木がどんどんと伸びて葉を茂らせ、大きく伸びるのです。花も咲かせます。
夏になりますと、成長した木は根を大地に張り、枝を広げて葉を茂らせます。幼い苗木の時は枯れそうで弱々しそうでしたが、立派な樹木となり、周囲の環境に馴染んで、他の木々と共生し、実のなる花は果実を膨らませますね。
人間も同じですね。社会人となって立派に社会生活をし、活躍し、家庭を築きます。
秋になりますと、木々は実や種をつけて熟成します。植物は次の世代へと生をつないでいく準備を完成させます。
人間も同じです。社会生活の懸命な努力が実り一定の社会的地位を得、苦労して育てた子供も独立していきます。立派な大木となるのです。この時期が、人生サイクルの秋です。充実してます。
冬になりますと、植物はこれから来る冬の寒さに向けて準備をします。冬を越えられない植物は、秋に種を作り、次へと生をつないでいきます。大木もやがて朽ちる時が来るのです。
大自然は、動物も植物も人間も同じようなサイクルで生をつないでいるのです。
今まで、人生を大きなサイクルで説明しました。これからは、人生を小さなサイクルの中で、苦労、苦難に立ち向かった時のお話をします。一般的な人は、成長して大人になり、社会生活をすると、人生でとても良い時期、楽しい時期があります。その反対に、社会的に精神的に肉体的に病気になったりして、苦しくて、辛くて、乗り越えるのがやっとで生活するのが大変な時期もあります。
頑張って苦労して、やっと生きている時期の方が長く、その中にまるでご褒美のようにひと時の幸せが来るのですね。それなので、皆様は苦難を抱えると、神社仏閣にお参りに行き願をかけるのです。どんなにAIが発達しても、人間生きている限り、その人なりの苦難は来るのです。なぜなら、人間の命は、前世で果たせなかった魂の修行をするために、または、新たな試練を乗り越えるのを目標としてこの世に誕生するからなのです。人生の苦難は避けられないのです。
大切なことは、苦難がないようにすることではなく、それをどう乗り越えるか、なのです。苦しい苦しいと嘆いていても、何も解決しません。苦しいとの嘆きや不満は負の感情となって、あなたの持っている生命の力をどんどんと落とし、ますます運気を下げ、暗い毎日をつくりだすのです。
人間は、持って生まれた生命力、社会で生きる力があります。生きる力はなかなか見えませんね。それは、あなたのDNAに組み込まれているのです。この生命力に火をつけ灯すのです。乗り越えようと、低迷した気を持ち上げましょう。
どうしたら良いとお思いですか?簡単です。「ありがとう」と感謝の言葉を、朝起きたらあなたの命さん有り難う、身体さんありがとう、魂さんありがとう、と言ってください。とても大切なんです。ご自分自身に「身体さんおはようございます。本日もよろしくお願いします」と言ってください。
それと大切なのは、出会う人に明るく挨拶をすることです。あなたの周りの人や物に感謝の気持ちを抱くのです。言えなかったら、心の中でささやいてください。感謝の心が芽生えると、心にゆとりが出ます。今までの凝り固まった魂、思考に隙間が出るのですね。隙間、つまり、ゆとりが大切なんです。そのゆとりの中より、困難や病で沈む気持ちを乗り切るヒントが見えてくるのです。明るい感謝の言葉。今までになかった心のゆとりが、苦難、苦労を乗り越えるきっかけになるのです。あなたの明るい挨拶により周囲の人達は今までと違ってあなたに、好意で接したり協力してくださるように変わっていくのです。
苦難、苦労をご自分で開いていくのです。
また、人生で実りの秋を迎えたからと言って油断してはいけません。今まで出来なかった楽しみを一気に取り返そうと思いっきり羽を伸ばすだけではいけないのです。これは、今までの苦労に対するご褒美として与えられるものなのです。苦あれば楽ありなんです。楽に溺れてしまうと、人生どん底に落ちるということにもつながります。
今まで苦労した分、ご自分の幸せのためにだけでなく、社会で困っている人に、ご自分のできる範囲で貢献しましょう。人間同士、助け合わなければいけないのです。苦労して人の辛さや悲しみを身を以て知ったあなたは、人に優しく接してあげてください。
決して傲慢になってはいけません。傲慢な心を持ち続けると、あなたの魂は負の感情に満たされて、また元の苦難へと導かれていくのです。慈悲と慈愛の心が大切なんです。しかし人間が、慈悲と慈愛の心でいることは、大変に難しいのです。だからこそ…
毎日、朝晩、あなたの魂に体に感謝の言葉を伝えてください。南無妙法蓮華経と唱えてください。唱えますと不思議ですね。あなたは努力をしなくても、負の感情、我(が)が消えていくのです。あなたの心は平安になるのです。慈しみの心も現れます。
人間の命は植物と同じくやがて枯れてゆくのです。
今、季節は秋。この心地よい時期、あなたの魂を光り輝かせましょう。素晴らしい一生を過ごすことができます。
このことを地上の皆様にお伝えしましょう。
合掌

 

永遠の仏陀からのメッセージ『日本編』ある男Bシリーズ 5

2025年9月25日朝8時10分。

『日本編』ある男Bシリーズ 5

男は、青年の言葉を聞いて自分の若い時の姿が蘇った。親や学校の教師、会社の上司に対して自分の感情や知識を正当化し、口から噴き出すように抗議したり、ある時は喧嘩腰に反抗した時代があった。その時のことが、次々と思い出された。若い時、どんなに多くの人に迷惑をかけてきたことか。そして社会に育てられてきたことに気づいた。
今までの男にはなかった大きな心の変化が起きた。男は、会社では、上司として部下からここまで話されたことはなかった。今回若者の本音を訊くことが出来た。会社という上下関係の枠のない出会い、旅だったから起きたことだった。男は、戸惑っていた。この険悪な雰囲気を消したかった。男は、今まで自分が無意識のうちに身につけてきた自尊心は、架空の自分の姿であるということに気がついた。本来の素直な心、魂の自分に戻りたかった。深くじっくり想った。そして、
男は、青年に躊躇しながらも静かに語り出した。「私はね、人生は単純な繰り返しで何も変化のないのが当たり前で、それが一番だと思ってきた。今までそう生きてきたんだ。しかし、昨日の一日を振り返り、繰り返し押し寄せる何の変哲もない波を見ていて、そんな波が岸壁を徐々に浸食し、景色を変えていることに気づいたんだ。自分の人生も同じように同じ繰り返しかもしれないが、実は繰り返しの一日がとっても大切なんだと思えたんだよ。目の前のお百姓さんの草むしりも、決して単なる同じことの繰り返しではないんだ。あの草1本1本全部違う生え方をしている。草の取り方もいろいろあるだろうし、ある程度草も残さなければならないこともあるだろう。外から見たら、同じように見える草むしりも、実は決して単純作業ではないんだ」
青年は、淡々と語る男の話をじっと聞いていた。話の展開で、青年は自分の一方的な見方で言ってしまったことに気が付いた。青年は、自分の弱点を素直に言う男を見つめ、「私の見解は浅かったです」と言った。草をむしるお百姓さんを見つめて生じた男と青年の緊迫した空気は、秋の涼風に流されていった。
男と青年は、農道をゆっくりと歩いた。たまに、作業用の小型車が、二人の横を通り抜けていった。これまで青年は、こんなにスローに歩くことはなかった。「レンタカーでも借りて思いっきり走らせたくなりますね」と言った。青年は、じっとしていられなかった。青年にとって、一日ゆっくりと海岸で過ごしただけで、気分は転換してきていた。彼は、コンピューターの情報を基に動いていた。スマホを見ながら脳を常に働かせている時が恋しかった。スマホをしまったことを心から後悔した。流れる音楽もない。退屈でつまらなかった。何もない景色は青年を遊ばせてくれなかった。青年は、男の話を理解し、今まで出会ったタイプの人間ではないと感じたが、これ以上共にいることが苦痛になってきた。青年にとっての旅は、一日で十分だった。早く帰り、スマホやコンピューターからの社会情報が欲しかった。インターネット、SNSから流れる情報から隔離されている自分はありえなかった。現代社会の1員から外されるように感じた。スマホやコンピューターの情報をもとに考え、動く自分に戻るため、青年は男との別れを決め、男に明日帰ることを伝えた。男は、青年の言葉に驚きもせず聞き流していた。2人の間には、わだかまりの空気はなかった。
寺が見えてきた。畑に囲まれた山道を抜けると、古木に囲まれた小さな寺があった。参拝し、木陰に休み、宿の主人の弁当を開いた。透明なプラスチックの包みに握り飯が3つ。香のものが添えられていた。実に質素な弁当だった。男は、米1粒1粒をかみしめていた。中には、梅干しと昆布の佃煮があり、適度な塩気が米粒と調和していた。素朴な握り飯が、心から美味しいと感じられた。変化のない田園と、村落の雰囲気とぴったりと調和していた。男にとって、握り飯に副菜はいらなかった。握り飯を食べる自分が、今、自然と1つになる幸せを感じていた。
一方、青年は今までの現実に戻っていた。昨日の出来事は、おとぎ話のようで、この握り飯を見て驚いていた。唐揚げも、卵焼きも何も入っていない。「すげーっ」とため息交じりに言った。添えられていたのは、ペットボトルの水だけだった。
青年は、現代の飽食にひたった生活を当たり前の日常としていた。コンビニに行けば、24時間いつでも美味しそうな弁当が並んでいて好きな物が選べる。コンビニは、彼の日常の要求を何でも満たしてくれる身近な万能店だった。青年は、握り飯を食べながら、コンビニの弁当を思い出していた。1つ1つ趣向を凝らし、毎日食べても飽きない芸術品だった。
宿の主人がつくってくれた握り飯は、あまりにも素朴だった。それは、青年にとっては単なる米の飯だった。青年は、気づかないうちにコンピューター、スマホ、コンビニに身も心も占領されてしまっていた。日常を生活するには、なくてはならなかった。新しく起業するにしてもコンピューター、スマホ、コンビニが身近になければ、仕事は成立しなかった。一方、男は何もない単なる握り飯の中に生きる喜びを感じ、1粒1粒の米をかみしめていた。

ブッダは言われた。「現代人は近代文明のもたらした産物がなくては、生きてはいけない。過去の歴史、大自然とともに生活した人間の魂に気がつかなければならない」